京都フュージョニアリング株式会社(以下、KF)は、当社とカナダ原子力研究所(Canadian Nuclear Laboratories:以下、CNL)が共同で設立したジョイントベンチャー「Fusion Fuel Cycles Inc.(以下、FFC)」が推進する「UNITY-2」プロジェクトに対し、米国ジェネラル・アトミクス (以下、GA)による今後10年間にわたる総額2,000万ドルの投資が決定したことをお知らせします。今回の投資は、UNITY-2に対する長期的・戦略的な支援であり、国際的に注目されるフュージョン燃料サイクル技術の実用化に向けた重要なマイルストーンとなります。
UNITY-2は、重水素(Deuterium)と三重水素(Tritium)を用いた核融合反応(D-T)を用いるフュージョンエネルギープラントに不可欠な燃料サイクルシステムの確立を目指す世界初の統合型試験施設であり、現在カナダ・オンタリオ州のCNLが管理する敷地内にて建設が進められています。2026年までの試運転開始、その後の本格稼働を目指しており、燃料の排出から回収、供給までの一連のD-T燃料サイクルの構築と効率的なトリチウム処理技術の実証を通じて、各国の核融合関連技術の性能検証と商用化加速に貢献する基盤インフラとして期待されています。ことカナダ国内においては、フュージョン燃料サイクルの技術開発とその確立を通じて雇用創出・経済成長・技術主権の確立に資する国家的プロジェクトとして高く評価されています。
GAは、1960年代から核融合分野の先端研究に携わり、世界最大級の磁場閉じ込め型核融合装置の一つであるDIII-D国立核融合施設(米国エネルギー省科学局管轄)を運営するなど、世界の核融合研究を牽引してきました。米国サンディエゴ本社を拠点に、世界各地の研究チームと連携し、科学的課題の解決と技術実装に向けた取り組みを続けています。
同社にとって今回のUNITY-2プロジェクトへの投資は、同社および米国、ひいては世界の核融合技術の発展に貢献する技術基盤の確立に向けたマイルストーンであると同時に、カナダ政府が導入する産業・技術利益(Industrial and Technological Benefits:ITB)政策※1の枠組みへの対応の一環として、カナダの発展に大きく貢献する事業活動への参画として実施されるものです。
■各社からのコメント
General Atomics Global Corporation Chief Executive Dr. Vivek Lall
「このパートナーシップは双方にとって有益です。ジェネラル・アトミクスとFFCは核融合科学において豊富な専門知識を有しており、トリチウム処理における両社の世界的なリーダーシップを強化するものです。今回の投資は、米国とカナダの間でイノベーション主導の経済成長に対する共通のコミットメントを示すものでもあります」
Fusion Fuel Cycles Inc. 共同代表(Co-CEO) Dr. Ian Castillo
「今回あらためて、FFCの活動が核融合業界そしてカナダ国民にもたらす長期的な経済的・技術的価値が認められたことに心から感謝しています。UNITY-2をカナダ、ひいては世界の核融合技術開発の中心拠点として提供していくことを楽しみにしています」
Fusion Fuel Cycles Inc. 共同代表(Co-CEO) 野添祐平
「フュージョンエネルギーの商業化を見据えるうえで、机上の解析やモデリングだけではなく、燃料サイクル機器を実環境に近い条件下で実証することは必要不可欠です。今回のGAによる投資は、UNITY-2が核融合技術の確立を目指すプレーヤーたちにとっていかに価値ある施設であるかを示すものと考えています」
KFは、プラズマ加熱のためのジャイロトロンシステム、炉心プラズマから熱を取り出して利活用するためのフュージョン熱サイクルシステムと並んで、フュージョン燃料サイクルシステムの確立を重点分野の一つに据え、これまで革新的なフュージョンシステムの開発を進めてきました。FFCを通じて、トリチウムに関する専門性と日本・カナダ両国の技術資源を結集することで、フュージョンエネルギーの社会実装を加速させるとともに、カナダをはじめとする国際的なパートナーと連携しながら、持続可能な未来に貢献してまいります。
ジェネラル・アトミクスについては、公式サイトをご参照ください※英文のみ
https://www.ga.com/
※1カナダ公式サイト:Industrial and Technological Benefits (ITB) Policy(英文のみ)
【ご参考】
CNLについて
CNLは、カナダにおける原子力研究の中核を担う、世界でも有数の原子力関連技術の研究機関です。前身となるカナダ原子力公社(AECL)から2014年に設備の運営・管理を引き継ぎ、原子力の平和利用および医療への応用について、日々最先端の研究が行われています。UNITY-2が建設されるチョークリバー(オンタリオ州)はCNLの研究拠点として長年にわたりトリチウムの生成・分離・保管・輸送に関する実績を有しており、法制度面・インフラ面・専門人材の観点からも極めて優れた条件を備えています。加えて、カナダは核燃料サイクルに関する国際的な法的枠組みにも積極的に参画しており、トリチウムを含む高度な物質の取扱に必要な規制対応力やセーフガード体制も整っています。