メルツ独首相が京都フュージョニアリングを視察 フュージョンエネルギーの共通課題解決に向け、日独協力の可能性を意見交換
ドイツ政府が掲げるHigh-Tech Agendaのもと、フュージョンのエンジニアリングで日独が連携

京都フュージョニアリング株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:世古圭、以下「KF」)は、2026年10月29日、ドイツ連邦共和国のフリードリヒ・メルツ首相を東京本社・研究開発拠点にお迎えしました。
メルツ首相には、炉型を問わずフュージョンエネルギーの実現に共通して求められる技術課題へのKFの取り組みをご紹介し、その一環として、プラズマ加熱を担うジャイロトロン、ならびに燃料サイクルシステムの構成機器をご視察いただきました。KFへのご視察は、今回の来日における唯一の民間企業視察となりました。視察後には、フュージョンエネルギーの社会実装に向けた日独協力の可能性について意見交換を行いました。
■視察の概要
- 日時:2026年10月29日(木)
- 場所:京都フュージョニアリング本社・研究開発拠点
東京都大田区平和島六丁目1番1号 東京流通センター 物流ビルA棟 AW1-S - ご来訪:ドイツ連邦共和国 フリードリヒ・メルツ首相、Stefan Rouenhoff, MdB Member of the Bundestag; Parliamentary State Secretary to the Federal Minister for Economic Affairs and Energy ほか
- KF対応者:共同創業者・代表取締役会長 小西哲之、代表取締役社長 世古圭、Chris Day, Head of Kyoto Fusioneering Europe;Group-CTO, Plant Technology Group
- 内容:KFの事業紹介、ジャイロトロンおよび燃料サイクルシステム構成機器の視察、意見交換



■フュージョンの共通課題に取り組むKFと、ドイツとのつながり
フュージョンエネルギーの開発では、トカマク型、ヘリカル(ステラレータ)型、レーザー型など、さまざまな方式の炉の研究が世界で進められています。一方で、プラズマの加熱、燃料であるトリチウムの循環、熱の取り出しといった技術は、方式を問わず実用化に欠かせない共通の課題です。KFは、こうしたフュージョンエネルギーの実現に不可欠なインフラ基盤(プラズマ加熱、トリチウム燃料サイクル、トリチウム増殖ブランケット・熱サイクルなど)を開発し、エンジニアリングと商用化を統合的に手掛けています。
KFはドイツ・カールスルーエに欧州拠点 Kyoto Fusioneering Europe GmbH(以下「KFEU」)を置いています。2024年1月にはカールスルーエ工科大学(KIT)と協力協定を締結し、トリチウムの取り扱いをはじめとする燃料サイクル技術を中心に連携しています。
またKFEUは、ドイツ連邦政府の研究助成プログラム「Fusion 2040」のもと、燃料サイクルのトリチウム技術を開発するコンソーシアム「SyrVBreTT」や、ブランケットに必要なリチウム濃縮技術を開発する「KaLiAS」に参画するなど、ドイツのフュージョン・エコシステムにおける取り組みを広げています。メルツ首相の訪日にあわせ、KFはドイツの企業との間でそれぞれ協力に関する覚書(MoU)を締結しました。
- Proxima Fusionとの覚書:欧州を代表するステラレータ型フュージョン企業であるProxima Fusionと、プラズマ加熱用の次世代ジャイロトロンおよび燃料サイクル技術に関する共同の取り組みを継続・拡大します。KFは、ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)の「Fusion Hubs」構想を含め、ドイツにおけるフュージョンエネルギーの商用化・産業化にも技術とエンジニアリングの知見を提供します。
https://kyotofusioneering.com/news/2026/10/28/4965
- Focused Energyとの覚書:レーザー駆動型慣性フュージョンを開発するFocused Energyと、KFのドイツ法人KFEUを含め、燃料・ターゲット技術、トリチウム燃料サイクル、極限環境向け材料、計測などの分野での技術協力、ドイツのフュージョン研究拠点との連携、日独での共同の市場開拓を検討します。
https://kyotofusioneering.com/news/2026/10/29/4975
協力の領域は、発電、プラズマ加熱、燃料サイクルと、フュージョンエネルギーの実現に不可欠なインフラ基盤の全体にわたります。相手先も、エネルギー技術の大手企業から、ステラレータ型やレーザー方式など異なる方式でフュージョンエネルギーの実現を目指すスタートアップまで広がっています。これは、KFが取り組む共通課題の重要性が、ドイツの政府・産業界に認識されていることの表れと考えています。
今回の視察は、こうした取り組みの一環として、KFの技術開発の現場をご覧いただく機会となりました。
■ご視察いただいた設備
ジャイロトロン
高出力のマイクロ波を発生させ、フュージョン反応に必要な高温状態までプラズマを加熱する装置です。KFはジャイロトロンを含むプラズマ加熱システムを開発しており、国内外のフュージョン開発プロジェクトや、フュージョン以外の分野にも提供しています。
燃料サイクルシステムの構成機器
フュージョン反応の燃料となるトリチウムを回収・精製し、再び炉に供給する燃料サイクルシステムは、継続的な発電に欠かせません。今回は、 その構成機器をご覧いただきました。
◾️コメント
京都フュージョニアリング株式会社 共同創業者 取締役会長 小西哲之
フュージョンエネルギーは、炉の中でプラズマを燃やすだけでは実現しません。プラズマを加熱し、燃料であるトリチウムを回収して再び炉に戻し、生まれた熱を取り出して電気に変える。こうしたシステムが確実に動いてはじめて、発電所として成り立ちます。これらは炉の方式を問わず避けて通れない共通の課題であり、KFは創業以来、この領域の技術開発に取り組んできました。本日ご覧いただいたジャイロトロンと燃料サイクルの機器は、その中核となるものです。ドイツには、ステラレータ型やレーザー方式など多様なフュージョン研究と、燃料サイクル研究の長い蓄積があります。日独の技術者がこの共通課題に共に取り組むことで、フュージョンエネルギーの実現を大きく前に進められると考えています。
京都フュージョニアリング株式会社 代表取締役社長 世古圭
メルツ首相をお迎えし、日独の産業協力について意見交換できたことを大変光栄に思います。ドイツは、フュージョンエネルギーを将来のエネルギー源としてだけでなく、先端技術によって国の繁栄を築くHigh-Tech Agendaの柱の一つと位置づけています。その中心にあるものづくりとエンジニアリングは、KFの事業の中心でもあります。この度発表したSiemens Energy・三井物産、Proxima Fusion、Focused Energyとの3件の覚書は、発電システムからプラズマ加熱、燃料サイクルまで、フュージョンの産業化に必要なサプライチェーンを日独で築いていく取り組みです。今後もカールスルーエの欧州拠点KFEUを通じてドイツの皆さまとの協働を深め、日独の連携でフュージョンエネルギーの産業化を加速してまいります。