– 国内外からの支援をもとに、技術開発をさらに推進 –
京都フュージョニアリング株式会社は、シリーズCラウンド(エクステンション)において、今年4月の資金調達(1st close)に続き、新たにアメリカのベンチャーキャピタルのIn-Q-Tel(インキュテル:IQT)、ニチコン株式会社、丸紅株式会社を含む計4者を引受先として総額10.7億円の資金調達を実施しました。この2nd closeによりシリーズCの累計調達額は131.3億円に、当社の累計資金調達額は148.1億円となりました。
フュージョンエネルギーを取り巻く環境は国内外で急速に変化しています。日本国内では、今年6月に閣議決定された骨太の方針や成長戦略にフュージョンエネルギーが改めて盛り込まれ、官民の開発力強化や国際連携の推進、そして2030年代の発電実証について明記されました。加えて、文科省とアメリカ合衆国エネルギー省(DOE)が「フュージョンエネルギーの実証と商業化を加速する戦略的パートナーシップに関する共同声明」を発表したり、自民党がフュージョンエネルギープロジェクトチームを、立憲民主党と国民民主党がフュージョンエネルギー推進議連を立ち上げたりするなど、国を挙げた動きが加速しています。また、今年5月には当社が会長企業を務めるフュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)の設立総会が開催され、大臣や議員、政府高官が参加し、フュージョンエネルギーの産業化に向けた動きが本格的に開始されました。
世界に目を向けると、イタリアで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)で発表されたコミュニケには、フュージョンエネルギーに関するG7作業部会の設立、規制に対する一貫したアプローチへの取り組みに向けて協力していく旨が盛り込まれました。また、イギリスでは政府が主導するフュージョンエネルギー炉開発プログラム「STEP」においてプロトタイプのプラントを作りあげるための産業パートナーの募集が開始され、さらに世界7極による国際プロジェクト「ITER」が開催したワークショップでは、幅広い産業からの参画が呼び掛けられ、公的機関と民間企業とのコラボレーションへの期待が示されるなど、官民協力によるフュージョン開発に舵を取る動きが見られました。
このような激動の中、当社事業も大きく進展しています。カナダ原子力研究所(CNL)との新会社「Fusion Fuel Cycle Inc.」の設立ならびに業界のエキスパートであるChristian Dayの参画によって、「UNITY-2」を軸にしたフュージョン燃料サイクルの領域はより具体的な展開を迎えています。また、京都リサーチセンターに建設中の発電試験プラント「UNITY-1」は、最初の大型設備の設置が完了し、2025年夏ごろに予定している世界初の模擬環境下での発電実証に向け、発電に利用する高温の熱を運搬するための液体金属を用いた実証実験を開始しました※1。さらにジャイロトロンシステムにおいては、産学の連携による技術開発に取り組み、高周波数や複数周波数の発振を検証しています。今後はこれらの事業を、新たに設立した3つ目の海外拠点Kyoto Fusioneering Europe Gmb(KFEU)も含めて推進していく計画です。
今回の資金調達によって獲得した資金と、投資家の持つ知見を活用して、技術開発を一層加速させ、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて全社一丸となり取り組んでいきます。
※1:UNITY-1の試験では、核融合反応を起こさず、放射性物質を取り扱うこともありません。
【資金調達の概要】
シリーズC(エクステンション) 2nd close調達額:
10.7億円(シリーズC累計調達額:131.3億円 / 累計資金調達額:148.1億円)
新規株式引受先(五十音順):
- In-Q-Tel(インキュテル:IQT) ※アメリカのベンチャーキャピタル
- ニチコン株式会社
- 丸紅株式会社
※このほか1者を含む計4者
調達目的:
- UNITY-1, UNITY-2をはじめとする技術開発投資の加速
- グローバル事業の推進および採用活動
- 大型案件受注・事業拡大に伴う運転資金の確保
【共同創業者 兼 代表取締役社長 兼 チーフフュージョニア 小西哲之からのコメント】
このたび、新たな投資家の皆様にご支援・ご協力いただけることとなり、大変心強く思っております。この場をお借りして、深く御礼申し上げます。
今回、日本だけでなくアメリカの投資家にも参画いただいたことは、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた当社、そして日本の技術への期待のあらわれであると捉えています。当社事業もいよいよトリチウムなどを用いる実環境下で、要素技術やシステムを統合(インテグレーション)する領域に踏み出しはじめました。ここからは一民間のスタートアップ企業だけでは難しい領域への挑戦となりますが、今後も投資家の皆様の知見やネットワークをお借りしつつ、そしてパートナーとの連携を一層強めながら、フュージョンプラントのインテグレーターとなるべく取り組んでまいります。
【引受先からのコメント】(五十音順)
In-Q-Tel (IQT)
CEO Steve Bowsher氏
持続可能なエネルギーの実現が喫緊の課題として世界的に取り組まれているなかで、IQTは電力・エネルギー分野における投資機会を模索し続けています。
京都フュージョニアリングは、この不可欠な産業における重要なプレーヤーとして、大きなインパクトを与えていくと確信しています。
ニチコン株式会社
代表取締役会長CEO 武田 一平氏
フュージョンエネルギーは、現在地球が抱えるエネルギー問題を解決する可能性のある「夢のエネルギー」として期待されています。京都フュージョニアリング様は世界最先端の技術に挑戦しており、フュージョンエネルギーの実用化に向けて、この先より重要な役割を担っていくという考えから今回の出資を決定しました。当社は、同じ京都にルーツを持つ京都フュージョニアリング様とともにカーボンニュートラルな明るい未来社会の実現に向けて邁進してまいります。
丸紅株式会社
執行役員 エネルギー本部長 山﨑 雅弘氏
丸紅は、京都フュージョニアリングの技術開発の独自性・先進性がフュージョンエネルギー実用化に向けた基盤になるものと考えております。フュージョンエネルギーの世界的な社会実装・産業化を見据え、同社と共に新たな市場を創造することを期待し、今回出資いたしました。京都フュージョニアリング及びステークホルダーと協業しながら、フュージョンエネルギーの実現に向けて積極的に取り組み、脱炭素社会やエネルギー安定供給に貢献して参ります。
【既存投資家】(五十音順)
- 株式会社INPEX
- SMBCベンチャーキャピタル株式会社
- 株式会社MOL PLUS(商船三井CVC)
- 京銀輝く未来応援ファンド3号forSDGs投資事業有限責任組合 無限責任組合員 京都キャピタルパートナーズ株式会社
- 京都大学イノベーションキャピタル株式会社
- 合同会社K4 Ventures(関西電力グループ)
- Coral Capital
- 31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI合同会社
- JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社
- ジャパン・コインベスト4号投資事業有限責任組合 三井住友トラスト・インベストメント株式会社
- ジャフコ グループ株式会社
- 大和企業投資株式会社
- DBJキャピタル株式会社
- 電源開発株式会社(J-POWER)
- 日揮みらい投資事業有限責任組合 日揮株式会社
- 日揮みらい投資事業有限責任組合(無限責任組合員:グローバル・ブレイン株式会社)
- 株式会社フジクラ
- 三井不動産株式会社
- 三井物産株式会社
- 三菱商事株式会社
- 三菱UFJキャピタル株式会社
- 株式会社三菱UFJ銀行
【京都フュージョニアリング株式会社について】
当社は、京都大学をはじめ、日本で長年培われてきた核融合研究の成果に基づき2019年に設立された、フュージョンエネルギープラント機器の開発に特色を持つエンジニアリング企業です。
プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体移送ポンプを始めとした先端核融合工学分野において世界有数の技術力を有しており、英国原子力公社を始め全世界の核融合研究開発機関・企業を顧客に持ちます。
日本のものづくり力を結集し、革新的なエンジニアリングソリューションを世界に提供することで、人類に究極のクリーンエネルギーを提供し、フュージョンエネルギーという新たな世界市場を創出することを目指しています。
<会社概要>
会社名 京都フュージョニアリング株式会社
設立 2019年10月
事業内容 フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発
およびプラントエンジニアリング
代表者 代表取締役社長 小西 哲之(こにし さとし)
社員数 133名 (2024年7月1日時点、派遣・業務委託・海外子会社含む)
所在地 東京都千代田区大手町(本社)
・京都府宇治市五ケ庄(研究拠点・京都大学宇治キャンパス内)
・京都府久世郡久御山町(京都リサーチセンター)
・英国バークシャー州レディング(英国子会社オフィス)
・米国ワシントン州シアトル(米国子会社オフィス)
・ドイツ カールスルーエ(欧州子会社オフィス)
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