2025.03.24
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THE FUSION ERA – LIBRTI プログラムってなに?

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皆様、こんにちは。
京都フュージョニアリングの広報担当です。

今年1月、当社は英国原子力公社(UKAEA)が推進するLIBRTI(Lithium Breeding Tritium Innovation)プログラムの「SSETB」(小規模トリチウム増殖実験)において、3つのプロジェクトを受託したことを発表しました。

今回のブログでは、Head of the Blanket TeamであるLuigi Candidoに、LIBRTIプログラムの詳細やSSETBに関する技術開発についてインタビューしています。ぜひ最後までご覧ください!


今回のLIBRTIプログラムではトリチウムに関わる技術開発に取り組みますが、関連する技術開発はこれまでも行っていたのでしょうか?

LIBRTIプログラムに採択される以前から、当社はUKAEAと協力し、「SCYLLA©ブランケット」の概念設計を進めてきました。ブランケットにはトリチウム増殖の役割があり、SCYLLA©ブランケットにはリチウム鉛合金(LiPb)を採用しています。(SCYLLA©ブランケットについてはこちらのブログ(英文)をご覧ください。)

また、イギリスでの研究に加え、アメリカのINFUSE(Innovation Network for Fusion Energy)プログラムを通じて、アメリカの研究機関とリチウム鉛合金(LiPb)に関する技術開発を進めています。アイダホ国立研究所(INL)とは、NRAD(中性子ラジオグラフィー)原子炉での中性子照射に向けた濃縮リチウム鉛(LiPb)サンプルを開発したり、プリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)とは、当社の発電試験プラント「UNITY-1」でMHD(電磁流体力学)と呼ばれる超伝導コイルを用いて磁場を発生させる試験の設計シミュレーションを実施したりしています。(INFUSEプログラムについてはこちらの当社の発表をご覧ください)

イギリスやアメリカの機関とトリチウムに関連する技術開発を進める中、当社はその知見を評価され、新たにイギリスのLIBRTIプログラムにおいて3つのプロジェクトを受託しました。

熱サイクルシステムを実証するUNITY-1の全体像(UNITY-1について詳しくはコチラ

LIBRTIプログラムで受託した3つのプロジェクトについて教えてください

1つ目のTRI-PRISMプロジェクトでは、当社主導のもと、バーミンガム大学、イタリアの新技術・エネルギー・持続的経済開発機構ENEAの研究所であるC. R. Brasimone、カナダ原子力研究所(CNL)と連携して進めています。

このプロジェクトでは、2段回に分けて開発と性能試験を行います。
まず、バーミンガム大学が持つ溶接技術を活用し、フュージョンプラントを循環するLiPb内に含まれるトリチウムをリアルタイムで検出する高度なセンサーを開発します。

センサーの開発後はセンサーの性能を段階的に試験します。最初は、ENEAが所持する水素同位体の浸透実験を行う装置「HyPer-QuarCh II」で静的な状況下でセンサーの性能を試験します。次に当社のUNITY-1のLiPbループを用いて、温度や磁場など環境に動的な変化を加えながら、センサーが問題なく作動するのかを試験します。

その後、CNLの試験施設で、センサーを用いて実際にトリチウムを検出できるかどうかを試験します。

2つ目はTRI-BREEDプロジェクトです。このプロジェクトはランカスター大学が主導し、オックスフォード大学と協力しながら、当社がSCYLLA©ブランケットを開発するうえで培ってきたトリチウムを増殖する技術や材料・工学に関する専門知識を活かしてブランケットのモックアップを構築し、その後中性子の照射試験を行います。

3つ目は水素同位体データ提供プロジェクトです。これは、アメリカの研究機関が主導するコンピューターによるシミュレーションや3Dモデルの制作といったデジタルエンジニアリングのプロジェクトで、当社は水素同位体に関する実験データを提供してプロジェクトをサポートします。

LIBRTIプログラムは当社にとって、どのような意義がありますか?

このプログラムを通じて、当社が水素同位体に関する研究で有名な世界中の大学や研究機関と協力しながら技術開発を進めることができ、とても有意義だと感じています。

特に、当社が主導するトリチウムを感知するセンサーの開発は、核融合業界全体にとっても、核融合炉の安全性と経済性を両立する上で意義があることだと思っています。

他にも、TRI-PRISM プロジェクトを通じて開発するトリチウムのセンサーは、当社のSCYLLA©ブランケットで用いるLiPb以外のループにも活用できると考えています。

例えば、当社はイギリスのSBRI(Small Business Research Initiative)プロジェクトにも採択されていて、LiPbに代わる素材としてリチウムやFLiBe(溶融塩)を用いる方法の研究開発を進めています。これらの計測に適した新しいセンサーの開発にもLIBRTIプログラムを通じて得られる試験結果を活かすことができるのではないかと考えています。

プラズマとブランケットの関係を示すイラスト

LIBRTIプログラムに関する進捗は、今後もブログなどを通じて発信していきますので、ぜひご注目ください!

今後とも京都フュージョニアリングにご注目ください。
また次回の「THE FUSION ERA」でお会いしましょう!

THE FUSION ERA:https://kyotofusioneering.com/news_category/blog


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