2025.11.28
INTERVIEWS & COLUMNS

Behind the Fusion Scene: 山本 耕一郎

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In a nutshell:
2024年4月に京都フュージョニアリング(KF)に入社された山本さん。原子力分野で培った豊富な経験を活かし、フュージョンエネルギープラントの模擬環境下で発電技術の実証を行う統合試験プラント「UNITY-1」での発電技術の開発に取り組んでいます。


山本さんは原子力の分野でキャリアを築かれていますが、この分野に興味を持ったきっかけを教えてください。

高校3年生の頃、核分裂反応や放射線崩壊 に関する授業を受けたことが最初のきっかけでした。物質(元素)が別の物質に変わる現象に驚きを覚え、興味を持ち始めました。

その後、より専門的に学びたいと思い、大学・大学院では原子力工学を専攻しました。修士課程を修了する頃は、ちょうど原子力発電所の建設が盛んだったこともあり、エンジニアとして働きたいという思いから、原子力発電所の設計・製造を手がけるメーカーに就職しました。

入社後は、原子力発電所向けのタービンプラント設計部門に配属され、プラントの詳細設計やタービン、ポンプといった機器の調達、プラントの試運転などを担当しました。

大学で学んだ内容と実際の業務内容にはギャップがあり、知らない専門用語が多く使われていて、戸惑うことが多々ありましたが、その都度先輩に質問したり、過去の資料を参照したりしながら、少しずつ知識を蓄えるよう努力しました。

これら業務を通じて、エンジニアとしての業務の幅も広がっていき、プラントの基本設計やプロジェクト全体の管理、新規顧客への拡販など、より上流の業務も担当できるようになりました。

2000年代以降になると、海外顧客の開拓に力を入れるようになったことから、海外のプロジェクトにも関わるようになりました。

海外向けのプロジェクトでは、どのような経験を得られましたか?

私は主に中国やアメリカのプロジェクトに関わっていたのですが、仕事の進め方が日本で経験してきたものと異なり、その違いに驚かされた経験があります。

中国のプロジェクトでは、現地メーカーと協業し、新しいプラントにタービン発電機などの機器を供給する契約交渉を担当しました。この交渉は非常にプレッシャーがかかるもので、今でも強く印象に残っています。

お客様との契約交渉は専門分野ごとに会議を行う「分科会方式」で行われました。私が担当していた機械分科会では、当方は私一人だったのに対し、先方からは10名ほどのエンジニアが参加するという状況でした。私が交渉のすべてを握っていたこともあり、自信と責任をもって交渉を進めました。

1か月以上の交渉の末、大型契約を締結し、その先10年にわたる会社の売上を確保することができました。無事に契約を締結できてホッとしたとともに、達成感もひとしおでしたね。

一方、アメリカのプロジェクトでは、現地エンジニアリング会社と協力し、新たなプラントの建設許認可取得に向けた基本設計を担当しました。アメリカでは、プロジェクト管理の体制や手法が発達していて大きな刺激を受けました。

私が勤めていた会社では、機能別にチームが分かれており、ベテラン社員がプロジェクトマネージャーとして自身の経験と感性に基づいて各チームを動かしていましたが、アメリカではプロジェクトごとにチームが組まれ、プロジェクトマネージャーが全責任をもって全体を管理し、意思決定をする体制でした。システマティックなプロジェクト管理手法を身をもって経験することができ、非常に勉強になりました。

帰国後は私自身がプロジェクトを管理する機会が多くなり、管理のポイントやリソースの使い方など、この時の経験を活かすことができました。

海外プロジェクトを含め、豊富な経験をお持ちの山本さんが、京都フュージョニアリング(KF)への転職を決意された経緯を教えてください

前職の定年退職を目前に控えた頃、これまでの経験を活かせるエネルギー産業で働きたいと新たな仕事を探していました。将来のエネルギーの一つである水素関連の仕事に携わりたいと思っていたのですが、偶然に新聞で取り上げられていたフュージョンエネルギーに関する記事を目にしたのがKFとの最初の出会いでした。フュージョンエネルギーは大学時代に少し学んだものの、ほとんど忘れてしまっていました(笑) 

しかし、その記事を見たことで「若い頃に覚えた原子力の仕事をしたい」という想いが再び湧き上がり、KFにとても高い関心を持ちました。 さらにKFが他のスタートアップや研究機関とは異なり、フュージョンエネルギープラントのエンジニアリングを事業領域としているので、これまでの経験を存分に活かせそうだと感じたほか、KFの掲げるCREDOにも強く惹かれました。CREDOのなかでは「Enjoy the Challenge」が特に印象的で、新たな挑戦を求めていた私にとって、挑戦することを後押しする内容に強く共感し、「この会社で働きたい」という気持ちが高まりました。

KFに入社後、どのような業務を担当されていますか?

現在はPlant Technology Divisionの一員として、フュージョンエネルギープラントの環境を模擬した統合試験プラント「UNITY-1」で、発電技術の実証に向けて取り組んでいます。具体的には、原子力分野で経験してきたタービンプラントのエンジニアリング技術を活かし、発電システムの設計、据付や試験を主に担当しています。

この発電システムは、炉を模擬した液体金属(リチウム鉛)が持つ熱エネルギーを熱交換器で圧縮空気に伝え、これを用いてタービン発電機を回して発電するという、熱サイクルシステムの要となる部分です。

現在はタービン発電機の据付や検査などを進めており、近いうちに発電実証を行う予定です。

UNITY-1に密接に関わっている山本さんから見た、UNITY-1の特徴について教えてください。

私が思うUNITY-1の最大の特徴は、高温の液体金属を連続かつ安定に循環させる技術です。

そのために液体金属を400~500℃に加熱・維持しますが、これらに耐えうる機器や配管材料を選定しなければなりませんし、温度を維持するために、配管や弁にヒーターを巻き付けるなどの工夫を行っています。

運転方法も特殊で、特に起動と停止の際には複雑な操作が求められます。起動時に液張りする時、タンクに溜まった高比重の液体金属は一般的なポンプでは持ち上げられないため、アルゴンガスを用いて圧力をかけ徐々に張っていきます。

一方で、停止時には温度が低下して配管内で液体金属が固まり、配管を詰まらせたりしないよう、バルブを閉める順番や温度の維持など慎重な操作が必要です。 このような技術やノウハウの蓄積によって、UNITY1は高温の液体金属を安定的に流すことができる世界唯一の施設であり、このおかげで、発電システムなど多くの実証試験を可能にしているのです。

UNITY-1に携わる面白さややりがいについて教えてください。

UNITY-1の開発では、フュージョンエネルギーならではの幅広い技術分野のテーマがあり、日々試行錯誤の連続ですが、それだけ新しいことに挑戦できるので、私はむしろそこに面白みを見出しています。

また、KFはメンバー全員がゴールに向かって日々スピード感を持って動いています。チームで検討した内容や新たに調達した機器をすぐに試すことができ、自分たちで決めたことがすぐに形になりますので、やりがいや達成感もあります。

一方で、フュージョンエネルギーも原子力と同様に、高い品質と安全を優先して取り組まなければいけません。そのため、設計図面のレビュー、試験検査記録の作成などにもしっかり重点を置いて日々の業務を推進しています。

今後は、核融合反応から実際に取り出す温度に相当する、最高1000℃もの高温を模擬する実証試験を計画しています。それに伴い、新たな材料開発や断熱技術など、さらに難易度の高い課題に立ち向かわなければなりません。

これまで数十年にわたりエンジニアとして活躍されてきた山本さんが、大切にしている考え方について教えてください。

プラントの開発には多くの専門エンジニアが関わるため、インターフェースをしっかり確認することが大切です。自分の専門領域をカバーするだけでなく、他のメンバーの専門領域の理解を深めていくことも重要だと考えています。

私は、図面の相互レビューや技術打合せの際には、少しおせっかい気味に、相手の専門領域に踏み込んでコメントするようにしています。紙と紙をつなぐ「のりしろ」のような仕事を前職の頃から現在に至るまで常に大切にしています。

最後に、KFで達成したいことについてお聞かせください。

来るもの拒まず、私が持っている知識を惜しみなく活かし、フュージョンエネルギーの実現に貢献したいと考えています。まずは、現在進めているUNITY-1の開発・試験を通じて、発電技術を実証することが目標です。

また、UNITY-1以外の複数のプロジェクトにも携わっているため、部署の垣根を越えて、これまで原子力の分野で培ってきた経験やスキルを存分に発揮しながら、引き続き新しいことに積極的に挑戦していきたいです。

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