核融合技術で新エネルギー開発に取り組む京都フュージョニアリング株式会社(本社:京都府宇治市、代表取締役:長尾昂、以下「KF社」)は、英国の公的研究機関UK Atomic Energy Authority(UKAEA)へ核融合炉技術を提供する受注契約を締結したことを発表します。この契約により、KF社は、2周波数帯のマイクロ波加熱装置(ジャイロトロン)を英国オックスフォード近郊のカルハムに位置するMAST Upgrade(Mega Amp Spherical Tokamak)実験施設に提供します。
MAST Upgrade(英国の国立核融合実験)の主な目的は、核融合技術を検証し、将来の核融合発電所の設計に役立てることです。KF社は、世界をリードするジャイロトロン技術と技術的専門知識を日本から提供し、UKAEAのミッションをサポートします。
KF社のジャイロトロンは、2023年までにMAST Upgradeに設置され、使用される予定です。また、これらのジャイロトロンをMAST Upgradeで使用することは、UKAEAのSTEP(Spherical Tokamak for Energy Production)プログラムの取り組みにも関連しています。STEPは、核融合発電所のプロトタイプを設計・建設する英国の代表的で先進的なプログラムであり、MAST Upgradeに設置されたKF社のジャイロトロンが提供するプラズマ加熱のデータと経験を利用して、その設計と開発を行います。
今回のKF社とUKAEAとの契約締結は、UKAEAによる核融合エネルギー開発に対する強力かつ重要なコミットメントを再確認するものです。また、核融合エネルギーを開発するために、国際協力が重要な役割を果たすことも強調されています。
長尾 昂 KF社 共同創業者・代表取締役のコメント
「我々は、核融合MAST UpgradeプログラムというSTEPプログラムに並ぶ英国の野心的なミッションをサポートできることを誇りに思います。KF社は核融合エネルギーの産業化を加速させることを目的としたプロジェクトに注力しています。英国の核融合MAST Upgradeプログラムを支援し、世界をリードする核融合炉工学の専門知識と技術を提供することで、核融合の産業化を加速させていきたいと思います。」
坂本 慶司 KF社 執行役員・技術開発本部長
「日本は国の研究機関が中心となって過去30年に渡り世界のジャイロトロンシステムの研究開発をリードしてきました。今般その研究開発が実を結び、ビジネスとして商用化してイギリスの公的研究機関であるUKAEAに届けられることを大変嬉しく思います。KF社は更なる高性能ジャイロトロン開発を推し進め、世界のジャイトロン開発をリードしてまいります。」
【英国の公的研究機関UK Atomic Energy Authority(UKAEA)について】
英国原子力公社(UKAEA)は、英国政府の公的研究機関として核融合エネルギーの研究を行っています。UKAEAは、MAST Upgrade実験を筆頭に、英国の核融合プログラムを統括しています。また、世界最大の核融合研究施設であるJET(Joint European Torus)を保有しており、欧州委員会との契約に基づき、欧州の科学者のために運営しています。
UKAEAの核融合研究は、工学・物理科学研究会議(EPSRC)と、ユーラトム条約に基づく欧州連合から資金提供を受けています。
詳細は下記をご覧ください。
・英国原子力公社(UKAEA):https://www.gov.uk/ukaea.
ソーシャルメディア @UKAEAofficial
・工学・物理科学研究会議(EPSRC):https://epsrc.ukri.org/
【京都フュージョニアリング社(KF社)について】
KF社は2019年に京都大学の研究開発技術をベースに設立された会社です。当社は核融合炉の実現に向けた先進技術の開発を行っており、特に、核融合炉の加熱装置や熱の取出し装置、プラントエンジニアリングにおいて、世界有数の技術力を有しています。高性能かつ商業的に実現可能で革新的な核融合炉技術ソリューションを開発することで、世界中の官民の核融合研究機関とともに核融合の実用化を加速し、人類の究極的なエネルギーソリューションの提供と脱炭素社会の実現を目指します。
会社概要
会社名 京都フュージョニアリング株式会社
設立 2019年10月
事業内容 核融合炉関連技術、装置の研究開発と販売
本社所在地 京都府宇治市
代表取締役 長尾 昂(ながお たか)
社員数 25名
HP https://kyotofusioneering.com/kfwp/