皆様、こんにちは。
京都フュージョニアリングの広報担当です。
以前のブログでビジネスメンバーが登壇したイベントについて紹介させていただきました。その後も、対外活動として国内外のいくつかのイベントに参加する機会があったので紹介したいと思います。
今回は、ヨーロッパやアメリカ、日本のイベントに直近で参加した当社技術者のReubenに話を聞いてきました。参加したイベントの概要とあわせて、彼がイベント会場で様々な人と交流する中で感じた人との「繋がり」が持つ力やその大切さや、登壇に臨むときのマインドセットなどをご紹介します。
– 普段の仕事内容を教えてください
私はフュージョンエネルギープラントに必要な材料の選定や研究開発を行うMaterialチームに所属しています。フュージョンエネルギー特有の、「高温、高磁場、中性子負荷」といった厳しい環境に耐えうる材料の研究開発に取り組んでいて、例えば、他の物質と組み合わせたときの反応や、腐食することを考慮しながら検証しています。
– 直近でどのようなイベントに参加しましたか?
ありがたいことに、世界でも著名なフュージョンエネルギー関連機関が集う国際的な学会から高校での講演など、様々なイベントに参加させていただきました。
まずは10月にロンドンで行われた「Fusion Energy Conference」。
国際原子力機構(International Atomic Energy Agency:IAEA)が主催するイベントで、世界中で行われているフュージョンエネルギーの研究成果や技術面でのアップデートをシェアする場でした。ブース出展を通じて、私は参加者に、当社のビジネスや技術的な強みをアピールしました。
その後、ロンドンからウィーンに移り、IAEA主催の二つのイベントに参加しました。
一つ目は「Technical Meeting on Fusion Design Safety and Regulation」で、当社のSafety & Regulation チームの成果を私が発表し、国ごとに異なる規制やリスク評価について議論してきました。
二つ目の「Technical Meeting on Compatibility Between Coolants and Materials for Fusion Facilities and Advanced Fission Reactors」は、私の専門分野である材料と化学に関する学会で、専門家による講演を聞いた後、フュージョンエネルギー炉と原子力発電炉で知識や技術を連携する可能性についても話し合いました。
その時の研究発表スライドと研究論文も公開されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
11月には、アメリカのElectric Power Research Institute(EPRI)で行われたワークショップに参加しました。様々なエネルギー供給の話題が広がる中、私は今後の研究開発に向けて、所属するMaterialチームで作成したロードマップについて発表をしました。
その後すぐに日本に帰国し、福井県の高校生を対象とした「原子力グローバルスクール」に参加するため敦賀市を訪ねました。そこでは私がイギリス出身であることや前職の経験を活かし、イギリスを取り巻くエネルギー問題についてレクチャーを行いました。英語でのプレゼンなので、なるべく簡単で身近な言葉を選ぶように心がけ、ところどころでは日本語も交えて説明しました。エネルギー問題に熱心に耳を傾ける学生が多いことに感心しましたし、私たちの取り組みを応援してくれているのがなにより嬉しかったです。
専門家との深い議論から、好奇心旺盛な高校生との比較的カジュアルな交流という幅広い経験を通じて本当に多くの人に出会うことができました。参加するイベントによって交流できる人が異なるので、毎回どんな人に出会えるのかワクワクしますね。
– イベントへの参加を通じて印象に残っていることはありますか?
現地での出会いがとても素晴らしい経験になるという点です。特に印象的だったのは、私が学生時代に参考文献として引用した論文の著者に直接出会えたこと。彼らの研究成果を元に私が博士論文を執筆し、それを当人の前で発表するのはとても緊張しましたが、同時に彼らの築きあげた研究成果に新たな価値を付け加えられている気がして、とても誇らしく思いました。このような経験ができたのも、今のチームメンバーや会社、さらにはこれまでのキャリアの人脈によるものですので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
もう一つ、京都フュージョニアリングという会社がすごく期待されているということを強く感じました。世界中でフュージョンエネルギーそのものを発生させることに重点を置く企業や研究機関が多い一方で、当社のようにエネルギーを電気や水素などの「社会に還元できるカタチ」に転換する仕組みを先んじて手掛けるところは他にありません。それゆえ、期待が高いのだと思います。
– イベント参加後にも何か交流の機会はあったのでしょうか?
イベントで知り合った人がきっかけで、思いがけないチャンスを手にしたことがありました。IAEAのイベントで知り合ったアメリカの教授が私の発表後に、「うちの研究室を見に来ないか」と招待してくれたのです。たまたま翌月にEPRIのイベントで渡米することが決まっていたので、彼の材料に関する研究を見てきました。ウィーンでの何気ない会話が、アメリカでの研究室訪問に繋がり、そして最終的には当社と共同研究ができないかという話にまで広がりました。今は実際に何か形にできないかを模索しているところです。
他にも、参加者が主催する別のイベントに招待されることもあり、それがきっかけでまた別のイベントに・・・と、繋がりが広がることもあります。例えば、アメリカで出会った教授が私をフュージョンエネルギーの材料研究のシンポジウムを運営している同僚に紹介してくださり、その後私がその運営委員に選ばれた、なんてこともありました。
雪玉のようにどんどん大きくなる繋がりは、私個人の機会や成長だけでなく、共同研究やビジネスチャンスといった会社レベルの話にも繋がっていきます。今後もどんなコラボレーションが生まれるかわかりませんので、業界問わず現地での出会いは大切にしていきたいですね。
– 発表するときにも心がけていることはありますか?
まずは緊張しすぎないことです。私は結構緊張しがちなので、「何事もうまくいく」と自分に言い聞かせてから登壇に臨んでいます。経験を重ねてきた今だから笑って言えますが、登壇をし始めた頃は、緊張しすぎて言いたいことが思うように話せなかった苦い経験もありました。とはいえ、適度な緊張感も大事なので、リラックスしすぎて油断しないようにバランスは意識しています。
次に、発表後は質問しやすい雰囲気を意識的に作るようにしています。もともと、私が博士課程でお世話になった教授が質疑応答を積極的に実践していて、理由を聞くと、「質問を通じて学生の理解が深まることは当然だが、質問をすれば直接コミュニケーションを取る機会になるだけでなく、その学生がこの場で存在感を示すことによって印象にも残りやすい」と説明してくれました。実際に登壇してみるとわかるのですが、積極的に質問をしてくれた人は印象に残るので、別の機会で会ったときにも覚えていることが多いです。それ以降、私が発表を行うときはなるべく参加者とコミュニケーションを取るようにしています。イベント参加後にも交流の機会が多いのはこの取り組みのおかげかもしれません。
– 2024年も対外活動はしていきたいですか?
機会をいただければ積極的に参加し、より多くの人にフュージョンエネルギーや当社の魅力を伝えていきたいです。加えて、個人的に今年は学びの年にしたいと考えています。イベントの参加を通じて貪欲に情報を収集し、それを社内に還元すれば、チームさらには社内全体の知識力向上にも貢献していくと思っています。
あとは、日本語の勉強に本腰をいれたいです。社内では英語も十分通じますが、日本語でもコミュニケーションを取れるようにして、チーム全体での連携をさらに強めていきたいですね。
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当社では、イベントに参加した様子が社内のチャットで共有されるのですが、今回のインタビューを通じて、写真では伝わらない現地での出会いのエピソードなど興味深い話を聞くことができました。
2024年も当社は色々なイベントに参加させていただくと思いますので、より一層現地での交流を大切にし、フュージョンエネルギーや当社の魅力をしっかりと伝えていきたいと思います。
また次回の「THE FUSION ERA」でお会いしましょう!
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