皆様、こんにちは。
京都フュージョニアリング広報担当です。
当社の技術者である矢ヶ崎 誇楠(ヤガサキ コナン)が、日本物理学会の「2023年春季大会 日本物理学会学生優秀発表賞」を受賞しました!
矢ヶ崎は2022年から当社でインターンシップとして働き、今年4月に入社したばかりのフレッシュメンバーです。
大学院時代の研究発表で受賞したということで、どんな発表だったのかを聞いてきました。
あわせて、矢ヶ崎が今どんなことにチャレンジしているのかをご紹介します!
– 研究内容について教えてください。
学生時代はプラズマ物理学を学び、核融合炉におけるプラズマについて研究していました。さまざまな核融合炉の方式が検討されていますが、その一つである磁場閉じ込め式(トカマク型)では、原子を加熱してプラズマ状態にし、磁場で閉じ込める必要があります。
その際プラズマの安定した閉じ込めを維持するために、プラズマから飛び出てくる熱や粒子はダイバータ板という箇所で受け止められます。しかし、このプラズマのままの状態でダイバータ板に流入すると、大きな熱負荷がかかってしまい、ダイバータの耐久に影響を与えてしまいます。
この負荷を低減することが、磁場閉じ込め式の核融合炉を実現するために求められています。研究室では、そのために必要なプラズマ状態の研究を行っていました。
– 磁場閉じ込め式の核融合炉の実現に必須なんですね!具体的にどのように熱を下げるのでしょうか?
ダイバータ板にかかる熱負荷を減らすには、プラズマをダイバータ板に到達する直前で消すような「非接触プラズマ状態」を作るのが効果的なのですが、実はその物理が十分に解明されていません。これを解明するために、NUMBERという直線型プラズマ装置を用いて、ダイバータのプラズマを模擬した研究を行いました。
研究では、プラズマの密度を上げる、温度を下げるなどの工夫をすることで、非接触プラズマの前段階となる「再結合プラズマ」に特有の発光を観察することができました。そして発光からプラズマを診断した結果、再結合プラズマの生成を確認できました。これは、NUMBERが採用するプラズマ源を持つ装置としては史上初めてのことでした。
この内容を発表したことで、今回の学生優秀発表賞を受賞しました。
– まだ解明されていないことを研究し続けるには、とても根気がいるのではないですか?
元々、好奇心と探求心が旺盛なこともあり、まだ誰も実現できていないことを達成したいという気持ちがありました。日々の研究は小さな装置を用いた実験を繰り返し、データを分析しつづけるといった地味なものではありますが、試行錯誤をしながらうまくいく方法を考えるのはとてもやりがいがあり、またおもしろく感じていましたね。
フュージョンエネルギー(核融合)自体も、学生時代に先生が授業中の雑談で触れた程度だったのですが、これから実現していく技術ということで、そこから一気に関心を持つようになりました。
今まさにフュージョンエネルギーに仕事として向き合っていますが、その関心は続いたまま毎日がとても刺激的です。
– 京都フュージョニアリングでは、どんなことに取り組んでいるのですか?
現在は原子をプラズマ状態にするために必要な加熱装置「ジャイロトロン」の研究開発に携わっています。
ジャイロトロンは当社の主力製品であり、核融合反応を起こすためにも必要な機器です。マイクロ波によって加熱するのですが、そのマイクロ波を効率よく伝送するための部品などを今は研究開発しているところです。
実際にシミュレーションや計算を繰り返し、より良いものにしていく・・・そんなことに日々取り組んでいます。
– その積み重ねが、将来のフュージョンエネルギーにつながってくるのですね!
そうですね。フュージョンエネルギーの早期実現に向けて、引き続き根気強くがんばっていきます。
フュージョンエネルギーの研究開発は、これまで実現していないことへの挑戦でもあり、矢ヶ崎をはじめ好奇心や探求心の強い多くの技術者が日々研究を続けています。
彼の挑戦はこの4月から本格的に始まったばかり。またBehind The Fusion Sceneでも取り上げたいと思っていますのでご期待ください!
当社はディープテックのスタートアップとして、積極的に研究開発を行っています。大学や学術機関ですばらしい研究に取り組んでいた人たちが活躍できるような会社や世の中を作っていきたいと思います。
今後とも京都フュージョニアリングにご注目ください。
また次回の「The Fusion Era」でお会いしましょう!
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