皆様、こんにちは。
京都フュージョニアリング広報担当です。
すい、へー、りー、べー、ぼくのふね・・・
学生時代に覚えたこの並びをなんとか思い出そうとしています。
それはなぜか。
フュージョンエネルギー(核融合)では、この周期表に出てくる様々な元素が登場するのです。
例えば水素(H)、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)から、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉛(Pb)など、聞きなじみのあるものから、初めて聞くようなものまで様々です。
今回はゴリ文シリーズ第4弾。夏休みの自由研究にも使える?!
フュージョンエネルギーに関わる元素を周期表を見ながら勉強していきたいと思います。
– 核融合反応に直接関わる元素たち
核融合は軽い原子同士を融合させることによって反応を起こします。
最も反応を起こしやすいと言われているのがDT反応というもので、水素(H)の同位体である重水素とトリチウム(三重水素)による反応です。
これによって生まれるのはヘリウム(He)と中性子。中性子が核融合炉内の「ブランケット」という装置にぶつかるエネルギー(14.1 MeV:世の中に存在しないレベルのエネルギー!)を熱として取り出し、発電などに利用していきます。
ちなみに核融合炉の炉心にヘリウムが残ったままだと核融合反応の妨げになるので、ダイバータと呼ばれる装置から排気していきます。
また、ヘリウムの同位体ヘリウム3を使った反応や、他にも、軽水素(これも水素の同位体)とホウ素(B)を使って反応を起こす研究も進められています。
– 燃料となる原子を増殖するための元素たち
DT反応を起こすためにはトリチウムが必要ですが、トリチウムはとても希少とされています。
絶えず核融合反応を起こすためには、燃料となる重水素とトリチウムを供給し続けなければならず、希少なトリチウムを効率よく生成したり、無駄にならないように回収して再度核融合炉に戻す仕組みによって、それを達成しようとしています。
トリチウムの生成に活用できるのがリチウム(Li)です。DT反応で発生した中性子とリチウムが反応することでトリチウムが生成されます。
当社が開発を進めているブリーディングブランケットという装置では、核融合炉内で中性子がぶつかるブランケットにリチウムを仕込んでおくことで、熱の取り出しとトリチウムの生成を同時に行うことができるのです。
また、リチウムと反応した中性子1個に対してトリチウムが1つ生成されます。
そこで、中性子の数を増やすことでトリチウムも必要なだけ生成することが可能になるのです。
その中性子を増やすために使われるのがベリリウム(Be)と鉛(Pb)。
これらは増倍材とも呼ばれ、1個の中性子と反応することで、2個の中性子が発生します。
こうして生成された中性子がリチウムと反応してトリチウムを得られるようになる、という仕組みです。
元素の反応をよく理解し、うまく活用することで、燃料の課題を解決しているのです。
– 高温の熱に耐える部品に使われる元素たち
フュージョンエネルギーでは、核融合反応を起こすための核融合炉内や、発生したエネルギーから取り出す熱そのものが非常に高温になります。(なんと1000℃~1億℃!)
このような極限状態ともいえる超高温に耐えるために、装置や部品に使う素材に特殊なものを使用します。そこで使われているのがタングステン(W)や、モリブデン(Mo)というあまり聞きなれない元素たち。
1億℃に達する核融合炉の炉心の近傍である内壁や直接的にプラズマがあたる内壁の中でもダイバータと言われる部分は超高温にさらされることになるので、鉄(Fe)などの一般的に使用されるような材料を使用するのは難しく、グラファイト(炭素:C)材料や、更に耐熱衝撃性に優れたタングステン(W)を用いた機器が開発されています。
ちなみに、タングステンは電球のフィラメントにも使われている素材です。
また熱を取り出す際に使用する熱交換器にはモリブデン(Mo)の使用を検討しています。モリブデンは融点が高いため加工が難しいのですが、それだけ熱負荷にも強い素材となります。
他にもバナジウム(V)という元素が高温でも強度を保つことができることから研究が進められています。液体リチウムを用いたブランケットでの活用が期待されています。
あまり聞きなれないものもありましたが、核融合反応によって発生したエネルギーを熱として取り出す際の装置(ブランケットや、そこから先の熱交換器、ループなど)に使える素材として、いずれも研究が進められています。
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今回、フュージョンエネルギーに関わる元素を紹介することで、それぞれがどのような役割を担っているのかを改めて知る機会になりました。
地上に太陽を作る、それはつまり極限環境(超高温だけでなく、超真空など)を作ることでもあるので、そこに使用する素材が重要なことは言わずもがなですね。
今後とも京都フュージョニアリングにご注目ください。
また次回の「THE FUSION ERA」でお会いしましょう!
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