In a nutshell:
京都フュージョニアリング(KF)で経理・財務担当として活躍する符川さん。会計の道を選ぶきっかけは友人の影響でした。猛勉強の末、公認会計士になった後、新しいことにチャレンジしたいという想いから海外へ飛び立ちます。海外にも拠点を持つKFの経理・財務関連業務だけではなく、持ち前のチャレンジ精神で会社の仕組みづくりにも取り組まれています。
京都フュージョニアリング(KF)では何をされていますか?
経理・財務担当として、請求書の処理や経費精算といった支払いや売上収入の入金管理など、会社に出入りするお金を扱っています。1つのミスも起こらないように、金額の確認を慎重にしたり、取引先の情報を細かく見たり、請求書の支払期限が過ぎないようなプロセスを考えたりしています。
また、KFはイギリスとアメリカにも拠点を持つので、現地の会計基準で経理処理できるよう、イギリス出身のメンバーを含むチーム全体で日々業務をこなしています。海外の会計基準や法律は日本のそれとは異なる点も多いので、驚きや学びも多いです。
また、コーポレートガバナンスにも関連して、当然ながらお金の使途もしっかり確認をしています。経費精算では領収書が添付されているか、そして正当な理由による出費かどうかなどをきちんと確認しています。
その他では、会計管理等に関わる仕組みづくりも携わっています。KFはまだまだスタートアップということもあり、私の入社当時は会計専任の担当がいませんでした。とにかく来るものをバタバタしながら捌いていくことになってしまっていましたので、まずは現状を把握し、何が必要なのか、何が課題なのかを考え、支払方法を整理するところから着手しました。
入社してからの取り組みの一例として、請求書払いの標準化や全社員へのコーポレートカードの発行を行いました。以前は会社の支払いをクレジットカードで支払うことが多かったため、クレジットカードの上限に達してしまうケースがありました。購買の頻度が高い人にはコーポレートカードを発行していましたが、全員が対象ではありませんでした。そのため、メンバーに負担の少ない仕組みにするべく、旅行代理店の導入を行い飛行機代の支払を請求書払いにするとともに全社員へのクレジットカード発行を行うことにしました。
他にも、会社の急速な成長に伴い、より効率的に社内の情報を管理する必要があったことから、ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入を進めています。正直、会社の成長が速いので、仕組みを組織の変化に合わせて随時導入・更新するのは大変ですし根気がいりますが、少しでも「メンバーが効率的に働けるように」との想いで頑張っています。
会計の道に進もうと思ったきっかけはなんでしたか?
学生時代の友人の影響が大きいです。当時は「就職氷河期」と呼ばれるほど就職が難しい時期で、内定をもらうのに悪戦苦闘する友人が大半でした。一方で、就職活動をせずに資格取得を目指す友人もおり、「私も武器になる資格を持っておきたい」と触発されたのがきっかけでした。友人は司法試験を目指していましたが、私は文章を読むより計算が得意だったので、公認会計士の資格取得を目標に設定しました。
大学4年生で初めて試験を受けたときは、残念ながら不合格でした。ただ、まだ大学生だったのもあり、「狭き門なので、仕方ない」と、すぐ翌年に向けた勉強を始めました。2回目の受験では無事に合格でき、とても嬉しかったですしホッとしたのを覚えています。その後、就職氷河期でありながら会計士業界では売り手市場だったおかげで、大手の監査法人に就職し、正式に公認会計士となるための実務経験を積むことができました。
仕事は順調でしたが、「海外留学したい」と思うようにもなっていました。というのも、学生生活を通して新しい人と出会うことに面白さを感じていましたし、「文化の異なる海外ではどんな人に出会えるのだろうか」と考えることが多かったからです。それに加えて、新しいことにチャレンジしたいという好奇心もあったので、「正式に公認会計士となったら」という条件を自ら設定して留学実現に向けて頑張ることを決めました。その後晴れて公認会計士の資格を取得し、1年間カナダに留学しました。
社会人になってから留学の夢を実現したのですね!カナダでの生活はどうでしたか?
正直、色々と大変なことは多かったですね。特にコミュニケーションに苦戦しました。私はもともと、拒絶するくらい英語が苦手で・・・。最初はホームステイしていたものの、なかなか相手の英語が聞き取れず、身振り手振りを凝らしてなんとか乗り切ったのを覚えています。
その後、現地のカナダ人とシェアハウスをしました。英語はまだ苦手でしたが、私の話をちゃんと聞いてくれる同居人のおかげで、文法や語彙が完璧でなくても、私の言いたいことをなんとか伝えられるようになりましたね。
このとき、外国語でのコミュニケーションにおいては自分のメッセージを届けたい「想い」が重要なのだと感じました。スラスラと言葉が出てこなくても、単語を口にしたり、身振り手振りを交えたり、あきらめなければ言いたいことは相手に伝わるんですね。そこに気づいてからは、英語を話すことへの抵抗感は少なくなりました。
そのあとは別の国の様子も見てみたく、カナダからドイツに渡り、5カ月ほど過ごした後、日本に帰国しました。
日本に帰国後、どのような流れでKFへの入社を決められたのですか?
実家の大阪から通いやすい製薬会社の会計部門に就職したのですが、結婚を機に東京を生活拠点とすることになったため、退職しました。
東京に引っ越し、しばらくして子どもを授かりました。実家が近くに無い環境での育児と仕事は大変だとは思いましたが、働きたい想いが強かったため、育児と仕事の両立を選び、子どもが1歳になるのを待って再就職をしました。残業の少ない会社を選びましたが、仕事から帰った後に家事や育児をしていたので休む時間はほぼありませんでしたね。ただ、私が仕事と育児の両立を頑張れたのは、子どもの笑顔や成長していく姿を見てこられたからだと思います。思い通りにならない時も多いですけどね。
KFに入社する前までは子育てを優先して仕事を決めていましたが、次第に子どもが成長し、付きっきりで面倒を見なくてもよくなってきたので、次は自分が心の底から面白いと思える分野で働きたいと思うようになり、転職活動を始めました。KFに出会ったのはそのときです。
求人情報を探すなかで「京都大学発のスタートアップ」という言葉が目に飛び込んできました。京都大学発のベンチャー企業とはどんなものか調べてみると、地上の太陽、脱炭素の切り札とも呼ばれる「フュージョンエネルギー」の実現を目指す会社だということがわかりました。ただ、そもそも私はフュージョンエネルギーが何なのかを知らなかったのでそこから調べていった結果、世界を大きく変える可能性がある領域ということを知りました。「ここで働きたい!」と応募を決めたものの、実際にはこの業界で働いていけるのか少し不安がありました。応募したタイミングが良かったのと会計の専門知識を持っていた強みもあり、無事入社することができました。
余談ですが、面接官が10数年ぶりに再会する元同僚だったのです。KFのホームページで写真を見た時は「似ている人かな?」と思っていたのですが、面接で会った時にそうだと確信しました。とても驚きましたが人生の奇妙な側面を感じました。
実際にKFに入社してみて、感じることは何ですか?
KFは本当に面白い会社だと感じています。1つは、フュージョンエネルギーという夢のある領域に携わることができるからです。世の中を劇的に変える可能性を秘めた分野で仕事ができていることをとても誇りに感じます。
もう1つ、共に働くメンバーがとても魅力的です。経験豊富なだけでなく、様々なバックグラウンドを持っているので、色々な考え方に触れることができ、とても刺激的です。それにメンバーの人柄もいいので、コミュニケーションも取りやすく、一緒にチャレンジしていける環境があるのは本当にやりがいを感じます。
あとは、スタートアップならではの圧倒的な会社の成長スピードですね。なんとなく想像はしていましたが、本当に毎日が怒涛のように過ぎていきます。組織が大きくなるにつれ、未経験の業務に携わる機会もあるので、自分自身のスキルの幅が広がっていく実感があります。実際、通常の会計の仕事だけでなく仕組みづくりなど、これまであまり関わってこなかった業務にも関われています。最初は思うように成果が出せず悔しいときもありますが、うまくいったときは一段と達成感があります。
これからも、KFで色々挑戦し続けたいと思っています。具体的には、管理会計や、IPO(新規株式公開)にも挑戦していきたいですね。