京都フュージョニアリング株式会社(以下、KF)とカナダ原子力研究所(以下、CNL)によるジョイントベンチャーであるFusion Fuel Cycles Inc.(以下、FFC)は、CNLのDr. Ian CastilloとKFの野添祐平が共同代表(Co-CEO)に就任したことをお知らせします。
この新たな経営体制は、KFとCNL両社の強みを活かしてフュージョンエネルギーの実現を目指すFFCを体現したもので、技術のエキスパートであるCastilloと新規事業開発や事業推進に強みを持つ野添の強固な連携により、フュージョン燃料サイクルシステムの技術開発と事業化を加速させます。
Dr. Ian Castillo (CNL) – Co-CEO
野添 祐平 (KF) – Co-CEO:
共同代表のもと、フュジョン燃料サイクルシステムの技術開発と事業化を加速
現在、世界中で核融合研究が加速し、ラボスケールから実際に建設が伴う規模の施設へと移行しています。核融合実験・実証施設は世界中で98施設が稼働しており、建設中で13施設、計画中では33施設が存在している状況です。40以上の民間のフュージョンスタートアップが、合計80億ドル以上の資金調達を行っており、今後10年以内に世界の市場規模が5,000億カナダドルを超えることが予測されています。
FFCの主要事業であるフュージョン燃料サイクルシステムは、フュージョンエネルギープラントにおいて、炉心部への安定かつ安全な燃料供給を行うことを可能にするもので、フュージョンエネルギーの実現、そしてそれに取り組む全ての研究機関・企業にとって必要不可欠な機能です。世界のフュージョンエネルギー炉の大多数はDT反応(重水素とトリチウムによる核融合反応)による核融合を前提に設計されており、その多くが燃料サイクルに関わる共通の課題を抱えている状況です。
それらの課題を解決するべく、FFCはフュージョン燃料サイクルシステムを確立し、統合されたシステムとして提供することで、フュージョンエネルギーの実現に貢献します。現在カナダに建設を進めている統合的な試験施設「UNITY-2」では、実際にトリチウムを用いたフュージョン燃料サイクルシステムの実証を計画しています。FFCはその実証を通じて、研究開発から商業化に至るまでの技術ギャップを埋めるとともに、UNITY-2をオープンなプラットフォームとして、世界中のフュージョンエネルギーに関わる機関や企業に対し提供していきます。
2024年5月の設立以降のFFCの進捗は次の通りです。
・資本金の払い込み完了
KFならびにCNLからの資本金の払い込みが完了しました。
・プロジェクトの進捗状況
UNITY-2の詳細設計段階に入り、リードタイムの長い部品の調達をすでに開始しています。同時に、システムに統合されるポンプのトリチウム適合試験を実施しました。フュージョン燃料サイクルシステムに関わる一連のプロセス実証する世界初の統合試験施設として、2026年までの試運転開始、その後の本格稼働を目指しています。
・最高クラスのトリチウム管理専門知識
カナダ当局より、CNLが保有する100グラムまでのトリチウムを処理することができる既存のライセンスの枠内で、UNITY-2プロジェクトを進める認可を得ました。これによりFFCは、トリチウムを用いた核融合研究において、最前線のポジションを担えるようになりました。
共同代表からのコメント
・Fusion Fuel Cycles Inc. Co-CEO Dr. Ian Castillo
「世界中で開発が加速する核融合技術の多くは、商業化に向けて燃料サイクルに関わる課題を抱えています。当社は、日本とカナダの優れた技術と強みを統合し、核融合開発者の研究ニーズに応えるとともに、技術的な障壁を取り除くことで核融合開発を後押ししてまいります」
・Fusion Fuel Cycles Inc. Co-CEO 野添 祐平
「当社の存在意義そのものであるUNITY-2は、個々のコンポーネント開発に留まらず、連続運転と最終的な発電実証を可能にする統合的なシステムで構築されます。フュージョンエネルギーという世界規模のソリューションを実現するため、スピード感を落とすことなく事業を推進してまいります」
【Fusion Fuel Cycles Inc. について】
Fusion Fuel Cycles Inc.は、京都フュージョニアリング株式会社とカナダ原子力研究所により、2024年5月に設立されたジョイントベンチャーです。カナダ、オンタリオ州のチョークリバー研究所を拠点に、D-T(重水素・トリチウム)燃料の核融合反応を起こすために必要不可欠となるフュージョン燃料サイクルシステムの技術を確立するべく、統合試験施設「UNITY-2」の建設を推進しています。UNITY-2での実証試験を通じて、研究開発から商業化に至るまでの技術ギャップを埋めるとともに、世界中のフュージョンエネルギーに関わる機関や企業に対し、オープンなプラットフォームとして提供していくことを目指しています。
【カナダ原子力研究所(CNL)について】
CNLは、カナダにおける原子力研究の中核を担う、世界でも有数の原子力関連技術の研究機関で、カナダ原子力公社(AECL)の指揮のもと、革新的な原子力科学技術製品とサービスにおいて世界をリードしています。企業戦略「ビジョン2030」に基づき、環境改善および保全、クリーンエネルギー技術の開発・推進、カナダ国民の健康に貢献することを掲げています。
CNLはAECLが所有する資産を活用し、政府、原子力産業、民間企業、学術界を結びつける役割を果たしており、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーやがん治療をはじめとする治療法、核不拡散技術や廃棄物管理ソリューションなど、カナダの革新的な製品やサービスを社会実装するべく取り組んでいます。詳細はウェブサイトをご覧ください。https://www.cnl.ca/
【京都フュージョニアリング株式会社について】
当社は、京都大学をはじめ、日本で長年培われてきた核融合研究の成果に基づき2019年に設立された、フュージョンエネルギープラント機器の開発に特色を持つエンジニアリング企業です。
プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体移送ポンプを始めとした先端核融合工学分野において世界有数の技術力を有しており、英国原子力公社を始め全世界の核融合研究開発機関・企業を顧客に持ちます。
日本のものづくり力を結集し、革新的なエンジニアリングソリューションを世界に提供することで、人類に究極のクリーンエネルギーを提供し、フュージョンエネルギーという新たな世界市場を創出することを目指しています。
<会社概要>
会社名: 京都フュージョニアリング株式会社
設立: 2019年10月
事業内容:フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発
およびプラントエンジニアリング
代表者: 代表取締役社長 小西 哲之(こにし さとし)
社員数: 138名 (2024年10月1日時点、派遣・業務委託・海外子会社含む)
所在地: 東京都千代田区大手町(本社)
・京都府宇治市五ケ庄(研究拠点・京都大学宇治キャンパス内)
・京都府久世郡久御山町(京都リサーチセンター)
・英国バークシャー州レディング(英国子会社オフィス)
・米国ワシントン州シアトル(米国子会社オフィス)
・ドイツ カールスルーエ(欧州子会社オフィス)
HP: https://kyotofusioneering.com/
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