2026.05.11
INTERVIEWS & COLUMNS

Behind the Fusion Scene: 横井 智哉

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In a nutshell:
2023年10月に京都フュージョニアリング(KF)に入社された横井さん。大学で化学工学を専攻後、建設会社で高層ビルや半導体工場の設計や施工管理を担当していました。現在KFでは、その経験を活かし、フュージョン燃料サイクルシステムで使用する計測機器の開発や、「UNITY-2」などのフュージョンプラントに関するレイアウト設計などを担当しています。


京都フュージョニアリング(KF)で担当されている業務について教えてください。

Plant Technology部門のフュージョン燃料サイクルシステムを開発するチームに所属し、計測機器の開発や、機器・設備の設計などを行っています。

具体的にはラマン分光計やガスクロマトグラフ、電離箱など、フュージョンエネルギーの燃料となる水素同位体の濃度や放射性濃度、含まれる不純物を計測する機器の開発を進めています。

ほかには、KFとカナダ原子力研究所(CNL)のジョイントベンチャー「Fusion Fuel Cycles」が建設を進めている、フュージョン燃料サイクルシステムの統合試験プラント「UNITY-2」の設備設計や、建屋のレイアウト設計を行っています。

UNITY-2の開発は、具体的にはどのように進められていますか?

CNLが保有する建屋のなかにUNITY-2のシステム全体を収めるため、設備のサイズや施工方法、性能などを念入りに確認しながら設計しています。ただ、すでに決まっている建屋のサイズに、後から設計した機器や設備を導入するのは一筋縄ではいきません。搬入や据付、実験やメンテナンスを行うスペースも必要ですので、緻密な計算と想像力が求められます。

また、グローブボックスと呼ばれる装置の設計も複雑です。グローブボックスは密閉容器の側面に着いたゴムまたは樹脂製の手袋に手を入れて、放射性物質などを扱うための装置です。手が届く範囲に、実験に必要な部品をすべて収められるように内装を設計するのが非常に難しく、1mm単位の細かい調整を重ね、設計しています。

大変な側面もありますが、これまで世の中に存在しなかった革新的な装置を、自らの手で開発できている点にはやりがいやエンジニアリングの面白みを感じますね。

横井さんは元々エンジニアリングに興味があったのでしょうか。

親が建築関係の仕事をしているのもあり、子どもの頃から「何かを作ること」に興味がありました。大学でも建築学科を専攻しようと思っていたのですが、ちょうどその頃に耐震偽装問題が建築業界に大きな衝撃を与えていたこともあり、進路を見直した結果、化学工学を専攻することにしました。

化学工学であれば、実験室レベルの化学反応をスケールアップさせていき、最終的にケミカルプラントを建設するという形で、「何かを建てる」という幼少期からの想いを、別のアプローチで実現できると思ったんです。

大学では授業を通じて、反応工学やプロセス工学など、幅広い分野の知識を学ぶことができました。ただ、大学院に進学し、研究の日々になった頃から気持ちの変化がありました。研究室では、人間の体がこの世に存在する最も効率の良いケミカルプラントであるという考えのもと、人体でどのような反応が起きているかを紐解く基礎研究を繰り返していたのですが、結果が出るまでに何年もの時間がかかるようで、前に進んでいる実感を持ちにくかったんです。このとき、自分には研究者よりもエンジニアが向いているのだと気づきました。

就職活動では、研究よりも設計や施工といったエンジニアリングに直接関われる会社を中心に探しました。最終的に、会社の雰囲気が自分に合っていると感じた空調系の建設会社への入社を決めました。

新卒で入社した建築会社ではどのような経験をされましたか?

都内の高層ビルや半導体工場の設計や施工管理などを経験しました。建設業界では実際に手を動かしたり、物を見たりして覚えていくことが多いので、入社直後から幅広い仕事に積極的に関わり、仕事を覚えていきました。

他の人があまりやりたがらない難しい施工の検討や、忙しさから後回しになっている領域にも自ら手を挙げて取り組みました。最初は分からないことばかりで、行き詰まることもありましたが、先輩社員や協力会社の方に教わりながら経験を積んでいきました。次第に一人でもできることが増え、成長を感じられたときは嬉しかったです。

当時は人一倍働き、知識と経験を一つひとつ積み上げていました。その結果、より多くの経験を積めた実感がありますし、それがエンジニアとしての自信にもつながっていきました。「何かを作ること」へのやりがいが原動力となって、とにかく目の前の仕事に無我夢中で取り組んでいました。

一方で、プロジェクトに積極的に関わるあまり、体力的な限界を感じ、挫折しかけたこともあります。それでも、一人で抱え込むのではなく、チームメンバーに声をかけ、助けを求めることができました。

特に、新卒1年目の頃に先輩や同僚に支えてもらいながらプロジェクトを前進させた経験が、その後、現場代理人として数十億円規模のプロジェクトをリードする際の土台となりました。チームで成果を出すことの価値を、実体験として学んだ時期です。

活躍されていた横井さんが、KFに転職をしようと思ったのはどういったきっかけだったのでしょうか。

きっかけは私の上司でHead of Fuel Cycle Departmentを務める松永さんからのメッセージです。もともと大学時代から知り合いだったのですが、「こんな会社に転職したんだけど、ちょっと話聞いてみない?」と突然連絡を貰ったんです。

メッセージを貰ったときは唐突すぎて戸惑いましたが、当時は担当していた半導体工場の建設が終わる1年前くらいで、ちょうどキャリアを振り返っていたタイミングでした。これまで非常に大きなプロジェクトに携わってきてからこそ、さらにエンジニアとしての経験を積むために、次は別の業界に挑戦するのも1つの選択肢だと考えるようになりました。

そこで松永さんに話を聞いてみたところ、KFが次世代のエネルギーと呼ばれるフュージョンエネルギーの実現に向け、技術の開発を進めていることを知りました。

フュージョンエネルギープラントを建てるという点で、建設の知識だけでなく化学工学の知識も活かせると思い、転職を決意しました。

正直、スタートアップへの転職ということで、環境の変化に多少の不安はありました。それでも、フュージョンエネルギーという次世代エネルギーの実現に向けて、民間企業が主体的に開発を進め、資金も積極的に投入されているという事実が、その不安を上回りました。さらに、面接で経営陣からKFの中長期的な戦略を直接聞き、KFでなら長期的に挑戦し続けられると確信できたことが、最後の一押しになりました。

実際にKFに入社して、気づいたことはありますか。

KFに入社して感じたのは、フュージョンエネルギーという未経験業界であっても、これまでに培ってきた経験を十分に活かせるということです。前職でビルや工場全体の設計や施工管理を担当した経験を通じて身に着けた、限られたスペースの中で設備や動線をどう配置するか、全体を俯瞰して考える力が、UNITY-2をはじめとするフュージョンプラントの設計やKF本社の研究開発エリアのレイアウトを検討する際にも活きています。

また、優秀なメンバーが多いことにも驚きました。フュージョンエネルギーの実現には、乗り越えなければならない技術的課題がまだ多く存在します。しかし、KFには機械設計や熱流体解析など各分野のプロフェッショナルが集まっており、お互いの得意領域を活かして着々と開発を進められています。

横井さんがKFで働く上で日々意識していることはありますか。

研究機関や協力会社との密なコミュニケーションを日々意識しています。フュージョンエネルギーは、単独の技術や一社の力だけで実現できるものではありません。各々の得意な分野を持ち寄ってこそ、開発を進められると考えています。

そのため、国内の展示会にも積極的に足を運び、協力会社のリサーチを行っています。フュージョンエネルギーは、半導体や水素製造など、幅広い分野と親和性があります。一方で、フュージョン向けに最適化された製品はまだ多くありません。だからこそ、展示会でメーカーの方々と直接対話し、こちらの要件をお伝えしながら「こういう装置を作れませんか?」と意見交換しています。

実際、先日参加した半導体の展示会で出会ったメーカーとは、燃料ガスの計測機器や制御系の共同開発に向けた検討を進めています。

国内のメーカーの方々とお話をするたびに、改めて日本のものづくり力の高さを実感しますし、その技術力をフュージョンエネルギー関連機器の開発に応用できないかを考えるだけでとてもワクワクします。

最後に、横井さんがKFで実現したいことを教えてください。

どの形式のフュージョン炉にも適用できる、標準化されたフュージョン燃料サイクル機器の開発をしていきたいです。そのためには、UNITY-2を通じて、高温や極低温、トリチウム環境下で使える計測機器やバルブ、それらの材質を開発する必要があります。

現在、フュージョンエネルギーにおける、統合的なプラントのエンジニアリングを手掛けている会社はKFだけです。最初にフュージョンプラントを完成させるのは、KFの使命だという意識を持って、新しいことにも積極的に挑戦して経験を積み重ねながら、フュージョンエネルギーの実現に貢献したいです。

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