2023.03.1
INTERVIEWS & COLUMNS

Behind the Fusion Scene: 松永 祥尚

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松永 祥尚 Technical Development Department Plant Technology Division Manager
2022年7月より当社参画。旧三菱化学にてエチレン製造プラントの運転管理、設備改善を行う。大型トラブルの原因解析、対応案ケーススタディ、設備投資計画における設備設計、およびそれらの実行(工事・運転)に関するプロジェクト案件を担当。

この業界に興味を持ったきっかけは?
大学では化学工学を専攻していました。化学工学は、化学製品を作る時の最適プロセスを検討する学問で、石油精製などの工業生産の設計、運転のための分野です。卒業後は、学んできたことを直接活かすことができる総合化学の石油化学部門を希望して就職しました。

入社して最初の5年間は、現場で必要とされる対応力を身に着けるのにとにかく必死でした。特に、私が所属した製造スタッフは、専門としていた化学工学はもちろん、それらの設備や制御システム、法令など、様々な要素を理解した上でプロセスを最適化し、効率良く良質な製品を作ることに取り組む必要がありました。そのため、幅広く知識や経験を身につけることが不可欠でした。

また、よく「化学プラントは生き物」とも言われるのですが、その日の原料/気温、および経年的な触媒劣化/汚れなどに伴い、プラントの状態が刻々と変わるなかで大小様々な不具合もあり、プラントに合わせて臨機応変に働く環境に慣れることにも時間がかかりました。

ただ、徐々に基礎となる知識が身につき経験を重ねていくことで、「運転や設備をこのようにした方がプロセスも良くなり、コストやリスクも下がるんじゃないか」といった、化学工学で学んだことを活かした提案もできるようになりました。

また、私が携わっていたのは50年近く運転していたプラントであったため、改善提案だけではなく、製品の安全安定を維持しながら、どのように高稼働かつ長期運転を達成していくかという課題にも取り組んでいました。様々な外乱がある中で、今できるベストなオペレーションを追求することは、大変さもありますが、非常にやりがいがある業務でした。

京都フュージョニアリング(KF)に入社したきっかけは?
10年近く一貫して同じエチレン製造プラントを担当していたことから、プロセスの改善、設備管理、設備投資、法対応など、このプラントでできるプロセスエンジニアリングについては一通り経験できたと感じていました。なので、自分のキャリア開発のためにも、これまで取り組んだことのない領域に携わってみたいと考えるようになったんです。

会社からは同じ領域でさらに専門性を深めていくことを期待されていましたが、自分の培ってきた技術を今後社会にどう役立てていこうかと考える中で、石油化学業界でのプロセスエンジニアリングにとどまらない、幅広い選択肢を検討しはじめていました。

知人がKFを紹介してくれたのは、ちょうどそのタイミングでした。それまで核融合業界については全く頭に浮かんでいなかったのですが、即座に「誰も作ったことがないプロセスや設備を考えられるなんて、めっちゃ面白そう」と思いました。同時に、自分がやりたいと思っていたことや、これまで培った技術を活かす場としてもすごくマッチしているとほぼ直感的に感じました。

特に、石油化学業界でも化石燃料の置き換えやCO2原料化・固定化が叫ばれるなかで、電力の問題が最終的なボトルネックになっていることを日々痛感していました。自分が培ってきたプロセスエンジニアリングを核融合の領域で活かすことができたら、自分を成長させてくれた石油化学をはじめとする日本の産業への貢献にもつながるんじゃないかと思えたことがKFへの入社を後押ししました。

現在KFではどのようなプロジェクトに取り組んでいますか?
現在は、主に二つのプロジェクトに携わっています。

一つは、UNITYというプロジェクトで、プラント設計におけるプロセスの検討を行っています。

具体的には、核融合炉から熱を取り出す際に必要となる熱交換器、およびその熱を利用したタービン発電システムのプロセス検討、それに附帯する計装機器、制御システムなどのオペレーション検討を中心に担当しています。プラントにおける熱回収については、前職での知見を直接的に活かせる部分も多く、とてもやりがいを感じています。

もう一つは、燃料サイクルのコンポーネント開発で、水素同位体を取り出すポンプや分離設備の開発などをおこなっています。こちらはより技術開発の分野に関わる業務が多く、R&D、マーケティングの両面で非常にやりがいのあるプロジェクトだと感じています。私の認識だと、現時点では世界的にも燃料サイクル全体のプロセスフローに関する技術は固まっていないので、今後この領域で、コンポーネント開発をしつつ、最適解を出すことができるようになれば、KFが核融合業界において、よりなくてはならない存在になれるのではないかと考えています。

実際にKFに入社して感じたことは?
まず、入社前にやりたいと思っていたことについては、関わることができていると思います。

スキルマッチという点でも、別の業界で自分の技術がちゃんと活かせると実感できた時は少しホッとしました。「これまでに身につけたものが活かせるはずだ」と頭では理解していましたが、それまで10年近く同じ会社の同じ部門に在籍していたので、少なからず不安がありましたが、大丈夫でした。(笑)

思いがけず大変だったことは、現時点では現場で化学工学を専門としているのが自分しかいないことでしょうか。小西先生はもちろん、KFにも化学工学に精通された専門家の方々が関わってくださっていますが、私自身の専門が化学工学ということもあり、この領域を任せられているので、これまでの経験に加えて、本や論文を総動員してめちゃくちゃ勉強しています。

あと、予期せず面白かったこととしては、技術部門でも、サプライチェーンやマーケティングなど、ビジネス視点を持って仕事に取り組める点があるかと思います。

あくまでも自分の根幹が技術の領域であることに変わりはないのですが、作ろうとしているものが社会のためになるのか、どうしたらマネタイズすることができるのかということについても考えるチャンスをいただけるのは、ベンチャーならではであり、本当にありがたいと感じています。

松永さん自身はKFでどのようなことを達成したいですか?
まだ手法が確立されていない核融合の領域において、「核融合プラントのプロセスエンジニアと言えば松永」と言われるような存在を目指したいです。

これまで各コンポーネントの研究については世界各国で実施されてきましたが、核融合プラントを実現するための詳細なプロセスを立証している事例はまだありません。その先駆けとしてUNITYの建設に着手しているのが我々KFだと思っています。

これまでに自分が身につけてきたプロセスエンジニアの技術を「未だ誰も実現したことのないもの」を作るために活用できるという点でも、核融合に取り組むことで地球規模の課題解決に貢献できるという点でも、KFで働くことをとても誇らしく感じています。

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