2022.12.21
INTERVIEWS & COLUMNS

Behind the Fusion Scene: 小川 聰

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小川 聰, Technical Development Department Plant Technology Division Manager
2022年3月より当社参画。日揮グローバル株式会社にてオイル&ガスプロジェクトの燃焼機器設計、建設現場支援業務等を行う。複数のエチレンプラントを担当し、サウジアラビア、アメリカでの駐在を経験。京都大学修士卒。

この業界に興味を持ったきっかけは?
大学院では、中性子源となる小型核融合炉の研究を行っていました。このとき携わっていたのは、核融合によって発生した中性子を地面に照射し地雷を探査するための中性子源の研究でした。

当時は核融合関連の仕事の選択肢が今ほど多くなかったこともあり、色々な選択肢を考える中で、研究室の共同研究先だった企業を通じて、プラントエンジニアリングの存在を知りました。

それまで、プラントエンジニアリングという言葉自体もあまりよく知らなかったのですが、「こんな大規模なプラントを何もないところに建設していくことは、すごく面白そうだし、かっこいい。」と、世界地図に残るような大きなスケールの仕事に惹かれて、プラントエンジニアリング会社に入社することを決めました。

その後は、主にエチレンプラントの分解炉を担当し、実際にいくつかの大型プロジェクトにも携わることができました。その中でも特に印象に残っているのが、アメリカのヒューストンに駐在した時のプロジェクトです。

そのプロジェクトでは、燃焼機器部門のリーダーとして、お客さんへの見積もり提出から、その後の設計、機器の調達、最後は現場での建設、試運転まで関わり、一連のプロセスを見届けることができました。見積からプラントの引き渡しまでを一期通貫して担当した経験が今でも自分の大きな強みになっていると感じています。

また、納入直前に大型のハリケーンに見舞われるトラブルもあって、ギリギリまで大変な仕事でしたが、高さ50m、幅150mほどの自分の担当した分解炉を目の前で見上げた時には、達成感で思わず込み上げるものがありました。

KFに入社したきっかけは?
私がそれまで担当していたのが分解炉と呼ばれるエチレンプラントの心臓部に当たるような機器だったのですが、ヒューストンでの駐在から帰国した後、分解炉を含めたエチレンプロジェクトの機会が少なくなったことから、新しく自分のやることについて考えるようになりました。

その中で、社内の新規事業の公募等も検討していたのですが、若手社員時代に、自分が核融合事業にまつわる提案をしていたのを思い出したんです。

当時は、ITERがこれから始まるくらいのタイミングだったこともあり、社内でもまだまだ先の話となっていたと思うのですが、ふと「今どうなっているんだろう」と調べる中で、KFの存在を知りました。

また、私の大学院時代の研究室がKF共同創業者の小西先生と近い研究室だったこともあり、「あの小西先生がこんな会社を作ったんだ。しかも、核融合の世界ってこんなふうに動き出したんだ…」と驚きました。

その時点では、自分がKFで働くとは想像もしていなかったのですが、並行して転職についても調べるなかで、KFが求人として再び現れた時は、ほぼ直感的に応募を決断している自分がいました。

現在KFではどのようなプロジェクトに取り組んでいますか?
UNITY*というプロジェクトの中で、核融合炉から熱を取り出すための機器類を統合させて、一つのプラントにまとめていく業務をおこなっています。

具体的には、核融合反応で生まれた熱を発電の装置まで運ぶために、KFでは熱を取り出すブランケットや、熱交換器、熱媒体となる液体金属ループなど、様々な装置を研究・開発しています。それぞれの機器を製造するために仕様を固めてベンダーに引き合いを出したり、各機器を一つのプラントにまとめていく検討をしたり、といった業務をしています。

設計に関わる業務については、ベンダーから提出された図面のチェックや全体のスケジュールの管理など、前職での経験がそのまま活かせるようなものも多くあります。

一方で、入社前にイメージできていなかったこととしては、会社自体のシステムも含めて自分達で構築していかなければいけないことでしょうか。

正直、最初は「そこからやっていかなきゃいけないんだ…」と思いましたが、自分達がこれからエンジニアリングの会社を作っていく実感があるので、すごくやりがいを感じています。

あと、これは一部予想していたことでもあるのですが、前職と比べても、開発の要素が圧倒的に多いことを痛感しています。既にあるものを組み合わせていくのではなく、誰も作ったことのない装置をこれから作っていかなくてはいけないので、日々、プロジェクトチーム全員で知恵を絞りながら進めています。

また、日夜開発を求められる環境に来て、「常に新しいことを考えていく」「挑戦していかないと」というマインドセットも培われてきたようにも感じています。

今後5年間でKFはどのように変化すると思いますか?
日本にとどまらず、世界の核融合産業を牽引する存在になっているのではないかと思います。

私が入社したタイミングで半年先のロードマップを作ったのですが、最近、それを見返すと、当時の想像をはるかに上回るスピードで事業が進んでいることを実感しています。

半年前には想像もしていなかった国内外の取引先やベンダーとの繋がりができ、新しいプロジェクトも次々と生まれているので、日本の技術力を武器としながらも、世界での存在感をさらに増していくのではないかと個人的には考えています。

一方で、会社として活躍の機会が増えていくのに伴い、組織を拡大していくことの必要性も感じています。先ほども少しお話ししましたが、これから「誰も作ったことのないもの」を作り上げていくためにも、開発チームでは、プロジェクトマネジメントの知見に加えて、機器設計や電気計装設計、プロセス設計など、専門知識を持ったエンジニアの採用が喫緊の課題のひとつだと認識しています。

小川さん自身はKFでどのようなことを達成したいですか?
一つは、KFとして世界初の核融合プラントの建設に携わることです。

私自身のルーツがプラントエンジニアリングなので、KFを核融合プラントエンジニアリング会社として作り上げていくこと、その先で、世界初の核融合プラント建設に携わることができたら、と考えています。自分達が作った世界初の核融合プラントの前に立って、完成の喜びをKFの仲間と共有できる日を目指して、頑張りたいです。

もう一つは、「世界で核融合プラントを作る時には、KFが絶対に必要」と言われるような企業になることです。そのためにも、核融合プラントの根幹となる技術をKFとして確立させ、それをしっかりと継続して強化していける体制を構築していきたいと思います。

*UNITYに関する当社プレスリリース
京都フュージョニアリング、世界初の核融合発電試験プラント建設

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