2023.02.8
INTERVIEWS & COLUMNS

Behind the Fusion Scene: 小林 暁

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小林 暁, Electro Magnetic Technology Division
2022年4月からインターンとしてKFに参画、2023年1月入社。東京大学博士課程を2023年3月に修了予定。修士・博士課程を通して素粒子物理国際研究センターに在籍し、スイス・ポールシェラー研究所でMEG II実験に参加。

素粒子物理に興味を持ったきっかけは?
幼い頃から両親が「科学の面白さに触れてほしい」という想いから日本科学未来館や科学技術館に連れて行ってくれて、科学に興味を持つようになりました。

進路を選ぶ頃には自然と理系を選んでいて、東京大学物理学科に進学しました。専門分野を決める中で特に目を引いたのが素粒子実験という領域でした。この領域では多くの人が関わる大規模なプロジェクトが多く、体育会系の部活に打ち込んでいた自分にとっては、チーム一丸となって一つのことに取り組むことができる環境が魅力的に映りました。その後、修士からの6年間、スイス・ポールシェラー研究所でMEG II実験というプロジェクトに参加しました。

博士課程の後はどんなキャリアを検討していましたか?
博士課程を始めた時点では、海外の研究機関で経験や実績を積んで、日本での安定しているポストを目指すようなアカデミアでのキャリアを想像していました。ただ、コロナによって海外へ行くハードルが上がってしまったこと、日本で任期なしのポストが少なくなってきていることを受けて、別のキャリアについても模索するようになりました。

博士号取得者の就職先として、情報、AI関連のエンジニアやコンサルタントについてもよく耳にしていましたが、それまでもコンピューターサイエンスなどを専門としてきた人たちの中で、その領域を牽引するようなポジションを目指すのは難しいだろうなと思っていたんです。

自身の経験を活かせる可能性がある成長産業としては、宇宙と核融合の2つが面白そうだと思っていたのですが、業界の伸びしろや専門分野との近さから、核融合の方が自分を活かせるのではないかと意識するようになりました。

KFでのインターンを始めたきっかけは?
京都フュージョニアリング(KF)の存在は、核融合に関わる企業を調べる中で知りました。

スイスにいた博士課程3年目の秋に、KFがHP上でインターンを募集していることを知って、核融合を専攻していない自分のような学生にも開かれていたことから、年明けに帰国したタイミングですぐに応募しました。

特に自分の場合は、関わるプロジェクトの最終的な目標に共感できるかどうかが能力やパフォーマンスを発揮する上で重要だということを、博士課程時代の経験から実感していたので、KFが掲げるビジョンやミッションに共感できたのは大きな決め手の一つでした。

また、就職先として「自分がやりたいこと」「自分ができること」「世の中に必要とされていること」の三つが重なるものを選びたいと模索する中で、核融合、そしてKFでの仕事は、自分にとって上記の全てを満たすものだと思えたことも大きかったです。

KFでのインターンでは、どのようなプロジェクトに取り組みましたか?
高い効率で大出力の電磁波を取り出すことのできるジャイロトロンの研究開発(R&D)に取り組みました。特に、ジャイロトロンの電子ビームのシミュレーションや、それに必要となるプログラミング業務などに携わっていました。研究でも粒子シミュレーションに触れる機会が多く、プログラミングもずっと扱ってきていたので、テーマと手法の両面でそれまでの経験を活かすことができました。

また、仕事の進め方では、R&Dの立ち上げの時期だからこそ、定められたガイドラインなどに基づいて進めるのではなく、実際に手を動かしながら自分で次のステップを考えて物事を進めることが求められました。このように、ある程度自分でも裁量を持って進めさせてもらえる環境が、自分にはとても合っている、ということも実感しました。

実際にKFでインターンをしてみて感じたことは?
日本が世界をリードするジャイロトロン領域において、坂本さん平田さんをはじめとする一流の研究者の方々と一緒に働くことができ、指導いただけたことはとてもありがたかったです。また、その中で研究の前進に携われたことは、少し離れた分野を専門にしてきた自分でもチームに貢献できるという自信につながりました。

ジャイロトロンは、電子ビームを出す装置や、良い軌道を描かせるためのコイル、電子ビームからエネルギーを取り出す空洞共振器など、本当にたくさんの要素で構成されている複雑な機器です。その構造を質問をぶつけながら理解していく過程で、それぞれの要素の働きや開発の現状、課題などを網羅的に教えていただけました。一流の専門家の知識・経験の厚みを目の当たりにし、言葉では言い表せない感動を覚えました。

また、インターンに応募した段階では、漠然と研究者集団のような組織を想像していたのですが、実際には経験を積まれた研究者やエンジニアの方だけでなく、マネジメントや渉外、経理、広報など、プロジェクトを進めていく上で必要となるさまざまな領域のエキスパートが活躍されていることがわかりました。

私自身はこれまでアカデミックな環境に身を置いてきましたが、研究以外のプロフェッショナルとも協力しながら進められる環境だからこそ、研究者の方も自分の専門領域により集中できるのではないかとも感じています。

今後5年間でKFはどのように変化すると思いますか?
核融合産業自体が急速に発展している中で、それについていけるような規模とスピードを兼ね備えた企業になることが求められると思います。

加えて、大局的・長期的な視野を持って研究開発を行い、核融合の実用化に向けたステップを着実に進めていくことも重要になるのではないかと考えています。研究者・エンジニアからビジネスサイドまでエキスパート揃いのKFならこれらを達成できると信じています。

小林さん自身はどのようなことを達成したいですか?
KFを、世界を代表する核融合企業にしていきたいです。

資源の限られた日本が今後のエネルギー戦略を考える中で、燃料が比較的簡単に得られる核融合に力を入れるのは必然だと個人的には考えています。今はKFの皆さんについていくので精一杯ですが、坂本さんのような一流のプロフェッショナルを見習って、KFの最前線を担えるような人材を目指したいです。

まずは今携わっているプロジェクトで、ジャイロトロンのエネルギー効率をさらに高めたり、出力を上げたりするなどの技術革新に向けて、チームの皆さんと一丸となって頑張りたいです。

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